Dr.中川の歯のはなし Vol.8
「ちゃんと磨いているのに、歯が黄色いんです」
こういう相談をいただくことがあります。患者さんとしては、「磨き方が悪いのかな」「汚れているのかな」と心配になりますよね。
でも、歯が黄色く見えるからといって、必ずしも「歯が汚れている」ということではありません。
前回は、コーヒーやお茶などによる着色のお話をしました。今回はもう少し踏み込んで、「そもそも、歯はどうして黄色く見えることがあるのか」というお話をしてみます。
健康な歯=真っ白、ではありません
まず、これは知っておいていただきたいことです。健康な天然の歯は、必ずしも真っ白ではありません。少し黄色みを感じる歯もあります。
エナメル質と象牙質の関係
これは、歯の構造が関係しています。歯の表面には「エナメル質」があります。そして、その内側には「象牙質」があります。
エナメル質は半透明なので、その内側にある象牙質の色が透けて見えます。そのため、天然の歯は少し黄色みを帯びて見えることがあります。ですから、「黄色い=汚い」ではないんですね。
すりガラスを想像してみてください
これは少したとえが難しいのですが、すりガラスの向こうに色のついたものを置いたところを想像してみてください。ガラスそのものだけではなく、その向こう側にある色も透けて見えますよね。
歯もまったく同じではありませんが、イメージとしては少し似ています。外側のエナメル質だけを見ているのではなく、その内側の象牙質の色も、私たちが見ている「歯の色」に関係しています。
磨き残しとは別の話です
だから、一生懸命歯磨きをしていても、「なんとなく黄色っぽい」ということはあります。これは、磨き残しとは別の話です。
「黄色い歯は、磨いても白くならないの?」
ここも大切なところです。
着色ならクリーニングで明るくなることがあります
歯の表面に着色がついている場合は、クリーニングによって着色を取り除くことで、見た目が明るくなることがあります。
歯そのものの色は、強く磨いても変わりません
一方で、表面の着色をきれいにしても、「やっぱり歯そのものの色が気になる」ということもあります。その場合、歯ブラシでさらに強く磨いても、歯そのものの色が白くなるわけではありません。
クリーム色のシャツの話
例えば、少しクリーム色のシャツを一生懸命洗ったからといって、真っ白なシャツに変わるわけではありませんよね。汚れを落とすことと、もともとの色を変えることは別です。歯も同じように考えていただくと分かりやすいと思います。
歯によって色が違うこともあります
鏡でよく見てみると、「前歯は明るいけれど、犬歯は少し黄色く見える」という方もいらっしゃいます。「この歯だけ磨けていないんでしょうか?」と心配されることもあります。
天然歯はすべて同じ色とは限りません
でも、天然歯はすべてが同じ色とは限りません。歯の種類や構造などによって、色の見え方に違いがあります。
ですから、「全部の歯がまったく同じ真っ白でなければおかしい」ということではありません。自然な歯というのは、よく見ると意外と一色ではないんですね。
年齢によっても歯の色は変わって見えます
「若い頃は、もう少し白かった気がするんですけどね」と言われる方もいます。これも、気のせいとは限りません。
「昔より黄色い=磨けていない」ではありません
歯は長い間、毎日使っています。年齢とともに歯の構造や色の見え方が変化して、以前より黄色みを感じることがあります。
ですから、「昔より黄色くなった=歯磨きができていない」と決めつける必要はありません。年齢による歯の色の変化については、次回もう少し詳しくお話しします。
「白い歯磨き粉を使えば白くなりますか?」
これもよく聞かれます。
何を「白くしたい」かによって違います
ここは、何を「白くしたい」と考えているかによって違います。歯の表面の着色を落としたいのか。それとも、天然歯そのものの色を明るくしたいのか。同じ「白くしたい」でも、この二つは違います。
また、市販の歯磨剤にもさまざまな種類がありますので、「これを使えばホワイトニングと同じように歯そのものが白くなる」とは一概に言えません。
研磨力の強いもので強く磨くのは避けましょう
着色が気になるからといって、研磨する力の強いものを使って力いっぱい磨く、というのもおすすめできません。まずは、「何が原因で黄色く見えているのか」を考えた方がいいと思います。
周りの人と比べなくても大丈夫です
最近は、テレビだけでなく、スマートフォンやSNSでも、とても白い歯を見る機会が増えました。そうすると、「自分の歯って黄色いのかな」と気になることもあると思います。
でも、写真は照明や撮影条件によって見え方も変わります。そして、もともとの歯の色も人それぞれです。
似合う白さは一人ひとり違います
私は、「この人と同じ白さにしてください」というより、「ご自身の顔や口元に合っていて、ご本人が自然に笑える白さ」を一緒に探す方がいいと思っています。
肌の色も違います。唇の色も違います。笑ったときに見える歯の量も違います。ですから、似合う白さも一人ひとり違って当然です。
まずは、汚れなのか、歯そのものの色なのか
「歯が黄色いのが気になる」。そう思ったら、まずここを分けて考えてみると分かりやすいです。
分けて考えると分かりやすいです
表面についている着色なのか。天然歯そのものの色なのか。あるいは、その両方なのか。
表面の着色であれば、クリーニングを考える。歯そのものの色をもっと明るくしたいのであれば、ホワイトニングを考える。ただし、実際にはお口を見ないと分からないこともあります。
「黄色いから恥ずかしい」と思わなくて大丈夫です
私は患者さんから、「こんなに黄色くて恥ずかしいんですけど……」と言われることがあります。でも、私たちは毎日いろいろなお口を診ています。歯の色について相談することを、恥ずかしいと思う必要はありません。
そして、黄色く見えるからといって、「歯が汚い」「歯磨きをしていない」とも限りません。
まず、今の歯がどういう状態なのかを見てみる。そして、「もう少し明るくしたい」と思えば、その方法を一緒に考える。それでいいと思います。
歯の色は、人と比べるためのものではありません
歯の色は、人と比べるためのものではありません。ご自身が鏡を見たときに、「この口元なら、自然に笑えるな」と思えること。私は、そこを大切にしていきたいと思っています。
中川デンタルクリニック
理事長 中川 隆伸

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