Dr.中川の歯のはなし Vol.7
コーヒーやお茶で、歯に色はつくの?
「先生、コーヒーが好きだから歯が黄色くなったんでしょうか?」
「お茶を毎日飲んでいるんですが、やっぱり歯にはよくないですか?」
診療をしていると、こうした質問をいただくことがあります。コーヒーもお茶も、毎日の楽しみですよね。朝起きてまずコーヒーを飲む。仕事の合間に一杯。食事のあとにはお茶。
私も、歯をきれいにするために、こうした楽しみをすべてやめる必要があるとは思っていません。ただ、コーヒーやお茶などを日常的に飲んでいると、歯の表面に色がつくことがあります。
今回は、そもそも「歯の着色とは何なのか」というところからお話しします。
歯の色が気になる=すべて「着色」とは限りません
まず、知っておいていただきたいことがあります。患者さんが、「最近、歯が黄色くなった気がするんです」と来院されたとします。しかし、実際にお口の中を拝見すると、原因は一つとは限りません。
「表面についている色」か「歯そのものの色」か
歯の表面に、コーヒーやお茶などによる着色がついている場合もあります。一方で、表面をきれいにしても、その方がもともと持っている歯の色自体が、少し黄色みを帯びていることもあります。
つまり、「歯が黄色く見える」という一つの悩みでも、「表面についている色」なのか、「歯そのものの色」なのかによって、考え方が変わるのです。これは、Vol.1でお話ししたクリーニングとホワイトニングの違いにもつながります。
コーヒーやお茶の色が、そのまま歯に染み込むの?
「毎日コーヒーを飲んでいるから、歯の中までコーヒー色になってしまった」というイメージを持たれる方もいるかもしれません。実際には、もう少し複雑です。
歯の表面についた着色を「ステイン」と呼びます
歯の表面には、唾液に由来する薄い膜ができます。そこに飲食物などに含まれる色素が付着し、着色として目立つことがあります。一般的に、こうした歯の表面についた着色を「ステイン」と呼びます。
マグカップをイメージしてみてください
例えば、毎日使っているマグカップを思い浮かべてください。お茶やコーヒーを毎日飲んでいると、少しずつ内側に色がついてくることがありますよね。
もちろん、歯とマグカップはまったく同じものではありません。それでも、「毎日の積み重ねによって、少しずつ色が目立つようになる」というイメージは、分かりやすいと思います。
「一生懸命磨けば取れますか?」
ここで、「それなら、歯ブラシで強く磨けばいいんですね」と思われるかもしれません。しかし、これはあまりおすすめできません。
強くこするほどきれいになるものではありません
着色が気になるからといって、歯ブラシでゴシゴシ強く磨けばよいというものではないからです。力を入れて磨く癖が続くと、歯や歯ぐきに負担をかけることがあります。
お風呂の汚れを落とすように、「強くこすればこするほどきれいになる」というものではないのです。
落としにくい着色は医院で確認を
毎日の歯磨きはもちろん大切です。ただ、ご自身では落としにくい着色については、歯科医院で状態を確認し、クリーニングを検討する方法があります。
着色を取れば、歯は白くなるの?
これも、よく聞かれる質問です。例えば、歯の表面に茶色っぽい着色がついている方。その着色をクリーニングで取り除くと、「先生、ずいぶん白くなりましたね」と感じることがあります。
本来の歯の色が見えるようになるということ
しかし、この場合はホワイトニングをしたわけではありません。歯についていた着色が取れ、本来の歯の色が見えるようになったということです。
洗濯に少し似ています
これは、洗濯に少し似ています。白いシャツについていた汚れを落とせば、もとの白さが見えてきます。でも、シャツそのものの色を別の色に変えたわけではありませんよね。クリーニングも、それに近いイメージです。
それでも「もう少し白くしたい」と思ったら
クリーニングをして、着色がきれいになった。鏡を見て、「きれいになりましたね」となった。それでも、「先生、ここからもう少し明るくしたいんです」という方もいらっしゃいます。ここで初めて、ホワイトニングという選択肢が出てきます。
クリーニングとホワイトニングの役割の違い
クリーニングは、歯の表面についた汚れや着色を取り除くもの。ホワイトニングは、天然歯そのものの色調を明るくしていくもの。同じ「歯をきれいにしたい」という目的でも、方法と役割が異なります。
「コーヒーを飲む人は、ホワイトニングをしても意味がない?」
そんなことはありません。
「私、毎日コーヒーを飲むので、ホワイトニングをしても意味がないですよね?」と聞かれることがあります。私は、「コーヒーが好きだから、ホワイトニングをしてはいけない」とは考えていません。生活の中で好きなものを楽しみながら、必要に応じてお口のお手入れをしていけばよいと思っています。
着色のつき方には個人差があります
ただし、飲食習慣やお口の状態によって、着色のつき方には個人差があります。ですから、「コーヒーを飲んでいる人は○か月で着色します」というように、一律にお伝えすることはできません。
好きなものを我慢するより、上手に付き合っていく
前回も少しお話ししましたが、私はこの点を大切にしたいと思っています。
歯を白くするために、コーヒーは飲まない。お茶も飲まない。好きな食べ物もすべて我慢する。それでは、何のために歯をきれいにしているのか分からなくなってしまいます。
生活と両立させる3つの習慣
もちろん、歯の健康や白さを維持するために、気をつけた方がよいことはあります。でも、「一度口にしたらダメ」と考えるのではなく、
- 普段の歯磨きをする
- 必要に応じてクリーニングを受ける
- 歯の色が気になってきたら相談する
そのように、生活と上手に付き合いながら続ける方が、現実的だと思っています。
まず「何の色なのか」を見てみましょう
歯の色が気になったとき、「ホワイトニングをしなきゃ」と最初から決める必要はありません。もしかしたら、表面の着色かもしれません。クリーニングできれいになるかもしれません。反対に、着色を取っても、「もう少し明るくしたい」と思うかもしれません。実際にお口の中を拝見しないと分からないこともあります。
「気になるんです」と伝えていただければ大丈夫です
ですから、「最近、歯の色が気になるんです」と、それだけ伝えていただければ大丈夫です。
何が原因なのか。クリーニングが合っているのか。ホワイトニングを考えた方がよいのか。一緒にお口の状態を確認しながら考えていきましょう。
好きなものを楽しみながら、歯も大切にする。そのくらいの付き合い方が、長く続けるにはちょうどよいのではないかと思っています。
中川デンタルクリニック
理事長 中川 隆伸

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