年齢とともに歯が黄色く見えるのはなぜ?

Dr.中川の歯のはなし Vol.9

「先生、昔はもう少し歯が白かった気がするんです」

「若い頃の写真を見ると、今より歯が明るく見えるんですよね」

患者さんとお話ししていると、こんなことを言われることがあります。

毎日自分の顔を見ていますから、少しずつの変化にはなかなか気づきません。

でも、何年か前の写真を見たときに、

「あれ?こんなに歯、黄色かったかな」

と気づくことがあります。

実は、年齢とともに歯が黄色く見えるようになることがあります。

前回は、

「歯が黄色く見える=汚れている、とは限りません」

というお話をしました。

では、加齢によって歯が黄色く見えてくるのは、どうしてなのでしょう。

今回は、少し歯の中のお話をしてみます。

目次

歯が黄色く見える理由は、表面だけではありません

前回も少しお話ししましたが、歯の表面には「エナメル質」があります。

その内側にあるのが「象牙質」です。

私たちが普段見ている「歯の色」は、表面のエナメル質だけの色ではありません。

エナメル質は半透明なので、内側にある象牙質の色も透けて見えています。

例えば、半透明の白いカーテンを想像してみてください。

その後ろに黄色っぽいものを置けば、カーテン越しにも少しその色が見えますよね。

歯もまったく同じではありませんが、考え方としては少し似ています。

外側だけではなく、その内側も「歯の色」に関係しているんですね。

年齢とともに歯の色が変化することがあります

歯は、毎日使っています。

朝ごはんを食べる。

昼ごはんを食べる。

夕食を食べる。

お茶を飲んだり、コーヒーを飲んだり。

そして毎日、噛んでいます。

10年、20年、30年と使い続けていくわけです。

そう考えると、ずっと同じ状態ではないというのも、少し想像しやすいと思います。

年齢とともに、表面のエナメル質や、その内側にある象牙質にも少しずつ変化が起こります。

そのため、若い頃と比べると、歯が少し黄色っぽく、あるいは暗く見えることがあります。

ですから、

「昔より黄色くなったから、歯磨きができていない」

とは限りません。

歯の黄ばみは、強く磨けば白くなるのでしょうか?

「じゃあ、もっと一生懸命磨けばいいですか?」

ここは気をつけていただきたいところです。

「黄色くなってきたから、もっと磨かないと」

と思って、歯ブラシでゴシゴシ強く磨く方がいらっしゃいます。

でも、歯そのものの色が変化しているのであれば、強く磨いたからといって、その色が白くなるわけではありません。

例えば、木の机を思い浮かべてください。

表面についた汚れなら、拭けば取れるかもしれません。

でも、木そのものの色を、強くこすって白くしようとはしませんよね。

歯も、

「表面についているもの」

と、

「歯そのものの色」

を分けて考えることが大切です。

年齢による歯の変化に、着色が重なっていることもあります

ただ、実際のお口の中では、そんなにきれいに分けられないこともあります。

年齢による歯そのものの色の変化だけではなく、その上にコーヒーやお茶などによる着色が重なっていることもあります。

例えば、

歯そのものの色が以前より少し黄色みを帯びてきた。

そこに、表面の着色もついている。

という状態です。

そうなると、

「最近ずいぶん黄色くなった気がする」

と感じることがあります。

表面の着色であれば、クリーニングで取り除くことで、本来の歯の色が見えるようになることがあります。

でも、クリーニングをしても、

「やっぱり、もう少し明るくしたい」

という場合には、ホワイトニングという選択肢が出てきます。

ホワイトニングで昔の歯の白さに戻せますか?

これも聞かれることがあります。

ただ、

「20年前とまったく同じ歯の色に戻せます」

とは簡単には言えません。

今の歯の状態も違います。

詰め物や被せ物が入っていることもあります。

歯の色も一人ひとり違います。

そして、ホワイトニングによる色調の変化にも個人差があります。

ですから私は、

「昔とまったく同じに戻しましょう」

というより、

「今のお口の状態を見ながら、どんな白さが自然でしょうね」

と一緒に考える方がいいと思っています。

年齢を重ねたからこそ、似合う歯の白さもあると思います

これは私個人の考えですが、歯は白ければ白いほどいい、とは思っていません。

例えば洋服でも、若い頃に似合っていた色と、今似合う色が少し変わることがありますよね。

髪型もそうです。

年齢を重ねることで、その人らしい雰囲気が出てきます。

口元も同じではないでしょうか。

肌の色。

唇の色。

顔立ち。

笑ったときの表情。

そういうもの全部を含めて、

「このくらいの白さが自然ですね」

というところがあると思います。

だから、

「若い人みたいに真っ白にしなきゃ」

と思う必要はありません。

「年齢だから歯の黄ばみは仕方ない」と諦める必要もありません

一方で、

「もうこの年齢だから、歯の色は仕方ないですよね」

と言われることもあります。

私は、それも少し違うと思っています。

年齢による変化があることと、

「何もできない」

ということは同じではありません。

まず表面の着色があるなら、クリーニングできれいにする。

その状態を見て、

「もう少し明るくしたい」

と思えば、ホワイトニングについて考える。

逆に、

「クリーニングだけで十分きれいになりました」

という方もいます。

何をするかは、その方の希望次第です。

大切なのは、「若く見せること」ではないと思っています

ホワイトニングというと、

「若く見せたいからするもの」

というイメージを持つ方もいるかもしれません。

もちろん、それを希望される方もいると思います。

でも私は、それだけではないと思っています。

例えば、

人と話すときに口元を気にしなくなった。

写真を撮るときに自然に笑えるようになった。

鏡を見たときに、

「ちょっときれいになったな」

と思える。

そういうことも、歯をきれいにする意味だと思います。

年齢による歯の黄ばみも、今の自分に合った口元を一緒に考える

年齢とともに歯が黄色く見えることはあります。

でも、

「黄色くなった=汚れている」

でも、

「年齢だから何もできない」

でもありません。

まずは、

表面の着色なのか。

歯そのものの色なのか。

その両方なのか。

そこを確認することからです。

そして、

「もう少し明るくしたい」

と思ったら、その方法を一緒に考える。

私はそれでいいと思っています。

20年前の自分と比べるのではなく、

今の自分が鏡を見たときに、

「この口元、いいな」

と思えること。

無理に若い頃へ戻すのではなく、今のご自身に似合う口元を一緒に探していけたらと思っています。

中川デンタルクリニック
理事長 中川 隆伸

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